トライアスロン アイアンマン世界選手権 91歳「まだやれる」 ギネス保持者、八千代の稲田さん /千葉
毎日新聞 2024/5/28 地方版


85歳で完走、記録更新に挑戦
トライアスロンの最高峰「アイアンマン世界選手権」を2018年に85歳で走り切り、最高齢完走者のギネス世界記録を持つ八千代市の稲田弘さん(91)が、米ハワイで10月に開かれる同選手権で記録更新に挑もうとしている。「まだやれる、という気持ちが残るうちは続けたい」と日々練習を重ねる。
県庁を4月半ばに訪問し、オーストラリア・ケアンズで6月中旬に行われるレースへの参戦を表明した。制限時間内にゴールすれば世界選手権に出られる。背筋を伸ばし、すらりとした立ち姿で熊谷俊人知事に「出場権を獲得したい」と力強く宣言した。
アイアンマン世界選手権は水泳2.4マイル(約3.9㌔)、自転車112マイル(約180㌔)、フルマラソン42.195㌔での3種目で合計タイムを競う。ギネス記録となっている18年の完走は、85歳328日で達成した。
60歳で水泳を始めたのを機に、競技の道を進んだ。練習は欠かさない。なじみのジムのプールで泳ぎ、悪天候でも自宅近くの川沿いをランニング。決まったルートでロードバイクと呼ばれる自転車をこぐ。千葉市に拠点を置くトライアスロンチームに所属し、月に1回程度、房総半島南部で合宿。仲間と汗を長し、自転車での走り込みなどに力を入れる。
今年4月下旬、世界選手権より短い距離で行われた沖縄県・石垣島の大会に参加。昼間の気温が30度を超える中で完走し、自身のみがエントリーした年齢別男子(90~94歳)で優勝となった。最終種目のマラソンが「きつかった」としつつも、手ごたえをつかめた。
「衰えてはいるが、筋肉の動かし方や呼吸法など、いろいろ試している」。得られる発見と、時に感じる身体能力の高まりに、目を輝かせる。